社会学概論 | 社会心理学 | 学生による授業評価報告


 

 

 

 

社会学概論(社会1年必修:4単位/坪井 健)
講義のねらい

 

この講義は、社会学を初めて学ぶ学生を対象に、社会学の見方・考え方の基礎を学ぶことを目的とする。具体的には、社会現象と特有の性格の社会学的分析例、社会学の基礎的概念の使い方、さらに現代社会の諸問題をトピックスとして取り上げ、さまざまな領域の社会学的研究を具体的研究例を通じて理解する。そして、2年次以後の社会学研究の基礎づけと方向づけに資する内容の講義を行う。

 

 

 

講義内容・授業スケジュール(平成15年版より)

 

1.

はじめに −講義の方針と受講の仕方−

2.

社会学とは何か ―3つの方法―

3.

私の社会学観 ―人生と社会学の経験―

4.

社会現象の不思議1 ―予言の自己成就―

5.

社会現象の不思議2 ―自殺的予言と潜在的機能―

6.

社会現象の不思議3 ―社会的ジレンマ―

7.

社会現象の不思議4 ―歴史のパラドックス―

8.

社会現象の不思議5 ―組織のパラドックス―

9.

社会現象の不思議6 ―犯罪のパラドックス―

10.

社会現象の不思議7 ―情報社会のパラドックス―

11.

社会学の基礎概念1 ―行為と相互作用―

12.

社会学の基礎概念2 ―価値と規範―

13.

社会学の基礎概念3 ―パーソナリティと社会化―

14.

社会学の基礎概念4 ―地位と役割―

15.

社会学の基礎概念5 ―集団と組織―

16.

社会学の基礎概念6 ―公衆と大衆―

17.

現代社会論1 ―崩壊する家族―

18.

現代社会論2 ―学校化する社会―

19.

現代社会論3 ―人生と職業労働―

20.

現代社会論4 ―高齢化社会と世代―

21.

現代社会論5 ―世界の中の日本―

22.

現代社会論6 ―多文化社会とコミュニケーション―

23.

現代社会論7 ―豊かさとは何か―

24.

まとめ ―社会学の仕方―

 

 

 

履修上の注意

 

1.

授業時間中の私語は厳禁する。目に余る場合は、出席停止とし単位を与えない。

2.

毎回、授業の感想や意見・評価用紙を配布するので、積極的に記入すること。

3.

個別質問は、講義後5分程度の質疑応答時間を設けるので、その際、積極的に尋ねてもらいたい。

4.

各テーマを1時間完結の予定である。内容や順序は変更することもある。

5.

授業中は配布プリントを参考にノートをとり、さらに深く研究する人は、紹介した文献を参考に自主的に学習することが望ましい。

 

 

 

成績評価の方法

 

1.

出席+毎時間の受講態度、感想、意見、質問など(30%)

2.

課題レポート・期末試験(70%)

 

 

 

教科書・参考書

 

各テーマの授業時間に指示する

 

 

 

 

 

 

 

 

この講義は、社会学を初めて学ぶ学生を対象に、社会学の見方・考え方の基礎を学ぶことを目的とする。この講義をどのように聴くべきかについてはじめに話しておきたい。

 

 

 

「社会学概論」の授業は、料理学校の調理法の講義に似ている。素材は「食材」ではなく「社会」であり、社会の見方・考え方は、「社会」調理の方法である。但し、この授業は「実習」ではなく、「講義」である。社会を調理する道具の使い方や素材の扱い方、調理例について講義するが、実際に皆さんに調理してもらうわけではない。それは2年生以降の「調査実習」や「演習(ゼミ)」「卒業論文」などで行うことになる。
 調理法の講義を聴いても調理は必ずしも上手にならない。上手になるためには皆さんが実際に活用してみることである。聞き流しただけでは役立たない講義になる。
活用方法は、身近な「社会」(社会・家庭・町・友人関係での出来事など)を素材にして、講義で使った道具(分析概念)や方法(論理)を用いて分析することである。
「当たり前」常識だと思っていた身近な出来事が、全く新しい意味を持ち、全く違った見方が出来ることがわかる。社会は社会学的に調理され、「新しい味づけ」をされたことになる。それは皆さんの社会の見方・考え方が大きく広がったことを意味する。社会学的分析や社会学的見方・考え方とは、こんなことを意味している。

 

 

 

「そんなことしてどんな得があるが?」とせっかちに実利を問われれば答えに窮するが、社会学は「理論定立科学」であるので社会の一般理論を作ろうとしている。しかし、社会は常に生々流転している生き物である。なかなか歴史を超越したどの時代にも当てはまる普遍的理論を完成させることは難しい。小さな部分的理論はいくつか発表され大いに活用され手いる。行政政策や産業組織、マスコミ、教育や犯罪、市民社会、家庭生活などの現場で生かされている。
だから社会学の知識は社会の至る所で役立っている。ただ、現実分析に役立つ社会の既存理論を探すより社会学的見方を身につけ自分で現実分析する方が、自分が生きている社会を多角的、客観的に考察でき、人生航路の社会戦略を立てるには役立つように思う。既存の社会理論も現実社会に当てはめると、社会変動が大きいためにかなり誤差があるのも事実であり、適用範囲がいつも限定的だからである。自然法則のように、いつどこでも当てはまる社会理論というものはない。

 

 

 

ところで、社会を調理するには、まず「社会」がどんな調理素材かをよく知ってもらいたい。ふつうの食材との違いは、「社会」は単なる「自然の物質」ではないということである。従って、物理や化学のような自然科学の対象より取り扱いが難しい。「社会」は、「人間の行いの中にあり、人間の行いの結果」である。社会は「生き物」であり、調理する人と同じ人間で出来ている。

「社会現象の不思議」として数回に分けて論じようとしていることは、社会学が対象とする「素材」の特徴をよく知ってもらいたいという思いからである。ここでは、皆さんが当たり前だと思っていた「常識」を覆すような話になると思う。
「社会学の基礎概念」は、言うまでもなく社会学の調理用具である。社会学でよく使われる代表的調理用具を少しだけ紹介するが、これは料理用「万能ハサミ」のように万能ではない。社会学の各分野にはそれぞれの道具がある。使う道具によって調理法が違うと言ってもよい。しかし、この概念を道具として社会を分析すると、社会はこれまでと大きく違った見え方をするはずである。
「現代社会論」として講義しようとしている内容は、社会学の「調理例」の紹介編といっても良い。内容は変わるかも知れないが、社会学の「調理例」は、別の『社会学基礎研究』でもそれぞれ専門の先生から紹介されるはずである。それも大いに参考にして、社会学が実際やっていることを学び、2年生以降の「自分の社会学研究」に役立ててほしい。

 

 

 

実際の授業では、新聞記事、統計資料、原典紹介、ビデオ教材なども積極的に活用する。それは授業のためだけでなくどう自学自習するか、その導き役でもある。
皆さんはこの講義を聴きながら、日々の生活の中でいろんな「調理実習」をやってもらいたい。具体的には、日記風な随筆やエッセーを書くことをお勧めする。毎日の新聞の中から一題取り上げ「自分はこの問題をどう捉えるか」を分析的に考察して見る。その際、今日社会学の講義で習った知識や見方をちょっと「知ったかぶり」して、無理して拘引に使って味付けして見てください。だんだん味付けが上手になるはずである。それが社会学的調理の自習法である。
そんな調理実習(自習)の対象を少しづつ絞って、3年のゼミから4年の卒業論文にかけて自分らしい社会学的な「社会調理作品」を本格的に作ってもらいたい。そして社会人になったら、大学で学んだ「社会学の社会調理法」を存分に職場や家庭や市民生活などに活かして活躍してほしいと願っている。

 

 

 

最後にもう一度言うが、「講義を聴いただけでは、調理はうまくならない」ことを肝に銘じて、この講義を生かすために自分は何をすべきか考えながら授業を聴講して頂きたい。
さらに付け加えるならば、自らの小さな社会的興味を拡大する努力をせよ。その興味を共有できる仲間を求めて行動せよ。そうすれば個人的興味は社会とつながり、社会的活動になる。

 

 

 

 

1.

「私語の厳禁」(出席停止もある)

2.

毎回「感想・意見」用紙を配布する。必ず記入すること。

3.

質問は大いに歓迎する。(講義の後、積極的に尋ねてもらいたい)

4.

講義内容は、1時間1話完結とすることを目標にする。(但し、次週持ち越しも有り)

5.

講義内容は、適宜変更することもある。

6.

講義で示された参考文献は、図書館などで確認し、自学自習に利用してもらいたい。

7.

出席確認は、毎回「感想・意見」用紙で行う。

8.

成績評価は、@出席+感想・意見、質問など(30%)
                    A
期末試験、課題レポートなど(70%)

9.

その他、(相談したいことがあれば、研究室を尋ねてください。
時間が許す限り、皆さんの相談にのりたいと思っています)