◆ 学校だより 6月号

 

教育は環境づくり

 

校長  荒 井 行 雄

テキスト ボックス: 教育は環境づくり

 5月26日からホタルが飛び始めました。従前よりお知らせしているように、今年のホタルは格別です。

1年目は、最終齢の幼虫を分けていただき放流しました。さなぎになって飛び出す環境があるかどうかを確認したかったからです。しかし、その時飛び出したホタルが産卵する環境としては、未だ十分ではなかったために3ヶ月後に幼虫を放流しました。この放流は、臨川ほたる池で幼虫が冬を越せるかどうかの確認もしたかったからです。

2年目の挑戦で越冬が確認できたことにより、この1年は通年の最終確認の年でした。

昨年の6月にホタルが飛び出しましたが、残念ながら産卵の確認はできませんでした。水際の苔や周囲の草むらをルーペ片手にさがしたのですが、見つかりませんでした。

この1年間、産卵したのか、生きているのか、分からないまま不安な状態で過ごしました。エサとなるカワニナも追加放流せず、姿の見えないホタルをただ見守るだけの毎日で、桜の花が散り終わる頃の雨の日の夜、幼虫はさなぎになるために陸に上がってくるという情報だけが確認できるチャンスでした。

長かった不安な1年間も、桜の花が開花する頃は期待と不安に変わり、待ちに待った雨の夜、4月7日を迎えました。傘をさしながら待つこと2時間、待望の光が水中で確認出来ました。青白い小さな光の点滅は、ゆっくりゆっくり動きながら岸のほうに近づき、さらにゆっくりゆっくり岩を登って土に消えていきます。

可憐で美しい幼虫の光は、1年間続いた不安をかき消し、よくここまで育ってくれたと感謝の念に変わりました。1匹の行方を見定めて池に視線を戻すと、ここにも、あそこにも光っているのです。都合、10日間ほどで20匹弱の幼虫が視認でき、通年の成長が確かめられたことが何よりでした。

世話をしないでもホタルが生き続ける環境が、3年間で完成した瞬間でした。そして、5月26日、飛び交うホタルは昨年までのホタルと違い、強く逞しい光を放って元気に飛び出しました。

実は、私の個人的な興味としてこの2年間とても気になっていたことは、ホタルのひかり方でした。ゲンジボタルは、西日本と東日本では光る点滅時間が違うのです。放流した幼虫は西日本から分けていただきました。西日本のホタルが東日本の東京で住まれ育つとどうなるかが楽しみでした。幼虫から育った昨年の成虫は西日本型でしたが、今年のホタルは東日本型なのです。

「環境は人を育てる」の例え通り、「教育は環境づくり」と再認いたしました。